今年の四月に坂出ツーデーに参加し、35キロを完歩出来たことからもう少し長いしまなみ海道のスリーディマーチのコースの中に40キロ2日間というのがあることを知り、少しハードルが高かったが思い切って参加してみた。
一日目(尾道~大三島)
内容は参加して初めてわかることも多く、時間制限があることには戸惑った。完歩を目標にしていたが、時間制限があれば少しでも速くという思いが強くなり、どうしてもオーバーペースとなってしまった。
距離も40キロとの振れ込みであったが、1日目の尾道から大三島の区間は41キロほどあり、8時過ぎの出発、渡船での移動などを考えると17時の制限だと休みなしで平均時速5キロをキープする必要があった。しかも橋へのとりつきの上りは登山程ではないが其れなりにきつく足への負担が倍増する。
1時間程度だと5キロより少し速めの速度は出るが、長くなるとどうしても速度が落ちてくる。しかもこの日は晴天で気温も30度近くあり、風もあまりなかったので私にとっては強行軍であった。
ゴールまで10キロの地点にある瀬戸田の給水所に来た頃に体調の異変を感じた。いくら水分を取っても口の中の渇きが解消されず、歩行速度も相当落ちていた。そんな時瀬戸田の給水所前で参加者の整理をしていたスタッフの方に呼び止められた。「給水していってください。これからの10キロは相当きついですよ。」と。
その声に導かれるように給水を受けたのであるが、水分をとり腰を下ろした途端熱中症と思われる症状で意識が少し朦朧としてしてきてこれでは続けられないという風に感じてきた。丁度その時近くにいた三十代後半と思われるご夫婦の内旦那さんが足が痛くてもう歩けないのでリタイアしたいとスタッフに申し出ているのが聞こえてきたことから、私の気力もそこで切れてしまいリタイアを申し出た。
その後は、ご夫婦と一緒にスタッフの方がゴール地点まで車で送ってくれた。本当にありがたかった。
預けていた手荷物はゴール地点でしか受け取れないのでゴール地点に行くことは必須であった。なお、リタイアせずに歩き続けていたとしても2時間で10キロは速度もかなり落ちていることもあり、制限時間の17時には無理だったような気がするし、途中でダウンしていたかもしれない。本当に温かい一言であった。。
ゴール地点では次々にゴールしてくる参加者を横目に見ながら寂しい気持ちで一杯であったし、翌日の行動に悩んでいた。
参加する事も可能だが、もし今日の様な状態になったらまたスタッフに迷惑を掛けてしまう。それなら明日一番のバスで今治に向かいそのまま帰宅しようかとも考えた。しかし、それでは勿体ないのでレンタサイクルを借りて今治に行く手もある。
あれやこれや考えている時にスタッフの方が仰っていた「明日の参加は可能ですし、明日のルートは路線バスが走っているのでダメになったところでバスで今治に行くことも可能ですから。」ということを思い出し、現時点では足に豆が出来て動かないので無理であるが、一晩寝れば経験から多少回復することが分かっていたので、歩けるような状態であれば行けるところまで行ってバスに乗ろうと決めた。
また、歩きに来ているのだから自転車等は邪道であると。というところでその日は終了した。ただ近畿ツーリストが斡旋してくれた民宿は8人部屋で私以外の7人は同じ会社のグループであったことはビックリであった。起きていても話にもならないのでビールを飲んで9時に寝てしまった。
2日目(大三島から今治)
この区間も時間制限は同じだが、出発が何時時間早く7時であり、距離も少し短く39キロであったので、私にも何とかなりそうな区間である。
朝起きてみた時の足の状態は、足が上がらないことはないが両小指と踵に出来て豆は相変わらず痛い。民宿でピップエレキバンをもらって張ることで少しは痛みも和らいでいたので歩けないことはなさそうである。同室の方が何種類ものテープを足のあちこちに張っているのを見て、私も次回参加するのであればそのような準備も必要な気がした。
ということでスタートはしてみることとした。バスの停留所は幾つか確認しておいた。この日は前日に比べて気温も低く風もあり、出発時間も一時間早かったことから最初の内は快適であった。まずは26キロ先の昼食場所を目標とした。足は痛かったが何とか前に出ていたので頑張れば行けそうな気がした。
前日はスタート直後から水分をとらざるを得ないような体調であったがこの日は水分の要求が無い。この状態だと何とか昼食場所にたどり着けそうである。しかし、時間が経過するにつれやはり26キロは遠く、足に疲れを感じ始め歩幅も少し短くなったようで距離が伸びない。水分の要求も出てきた。
もう一息、もう一息と自分を励まし歩いていると周辺を歩いている女性の方などは海が見えると気持ちよくなりスキップを始めたり、グルーブのリーダーの方などは離れた仲間に連絡するため走り出したりするのを見て、わが身の貧脚を再認識した次第である。
しかし頑張るもので、その内昼食場所の吉海道の駅が見えてきた。足はパンパンである。この日は事前に弁当を買ってなかったので道の駅でタコ飯を買って食べた。その間足が痛くて運動靴やソックスを脱いでいたが、足は少し楽になったものの、履く時には七転八倒の痛さであった。
当初考えたようにここでバスに乗ることも考えたが、後12キロであったのでゆっくりでも何とか時間内にゴールできる距離である。そこで意を決して痛い足を引き吊りながら出発した。直ぐに出会う来島大橋6キロを渡るまではそれなりに快調であった。しかし、今治側に入った途端だんだん足が重たくなり、しかも水分の要求量も倍近くなり同じ6キロではあるが2倍近い時間が掛かったような気がした。今治側の最後の給水ポイントで漁協のおばあさんたちと馬鹿話をしたのを思い出しつつ何時到着するかも分からないゴールは流石に遠かった。
しかし、ゴールではスタッフの方々が拍手をし、また握手で迎えてくれたのは感激した。香川では見た事のない風景で肩の荷が下りる瞬間であった。昨日助けてくれたスタッフの方もおられて完歩を大変喜んでくれた。人の気持ちとは温かいものである。甘酒とお茶を頂いたが汽車の時間もあるので早々に預けておいた手荷物を受け取り駅に向かった。何はともわれ40キロを完歩出来た事は私には記念すべき出来事であった。また、自分の貧脚を認識することも出来た。
来年参加するのであれば、もう少しスピードを上げて歩ける訓練が必要である。一年かけて考えてみたい。でも記憶に残る良い経験でした。
歩数 一日目 54,048歩 二日目 73,064歩